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サンタとトナカイ、天使と私
第4章 王子
光と悠斗くんはゲームセンターで遊んでいるようだったので、私と雅くんはふたりで東京の街を眺めることになった。
夜になればさすがにカップルだらけで、そんな中で私と雅くんは不思議な関係だけど、きっと傍から見ればカップルのように見えているのかもしれないと思うと恥ずかしくなった。
こっそり雅くんの顔を見ると、真っすぐ前を見ている凛々しい雅くんがいた。
「あの……澪さん」
「何?」
「手繋いでもいいですか?」
さっきは強引に手を取ったというのに、今度は叱られた子犬のような顔をして聞いてきた。
「レイ?」
その時、突然後ろから名前が呼ばれた。雅くんはすぐに振り返ったが私は動けなくなった。
聞き覚えのある声、発音だったからだ。
どうしてこんな場所にいるの? 薫さんのお気に入りのレストランは会社からこことは反対の場所にあるのに。
「澪さん、知り合い?」
雅くんが庇うように私の前に立った。
深呼吸をひとつして振り返れば、雅くんよりも体格のしっかりした肌の白い男性がこちらをじっと見つめていた。やめて、そんな目をしないでほしい。胸が焼かれるように首が見えない手で締められるように痛む。
「こんばんは。ラルフさん」
口をついて出たのは当たり障りのない挨拶だった。
知り合いだと気付いた雅くんは私の前から身体をずらした。それでも警戒しているように私にぴたりとくっついている。
「薫さんはどうされたんですか?」
「帰ってもらったよ。僕は興味のない女性とデートはしない。特に今夜は絶対にだ」
穏やかなラルフさんらしくない怒ったような声。
それよりも興味のない女性は薫さんのことなのか、でもラルフさんは薫さんと相思相愛だったんじゃ……。
「そんなことはどうでもいいんだ。レイ、隣りの彼は誰?」
雅が一歩前に出た。
「澪さんのファンです」
「何言ってるの、雅くんっ」
私は慌てた。
「だって本当のことやし……。あっ、じゃあ澪さんの恋人になりたいファンで」
ハンバーガーの注文でもするように朗らかに言う雅くん。
「あ、あの雅くんはうちの弟の同級生で」
「なるほど。じゃあ、君も僕と同じ仲間だ。ライバルでもあるけどね」
夜になればさすがにカップルだらけで、そんな中で私と雅くんは不思議な関係だけど、きっと傍から見ればカップルのように見えているのかもしれないと思うと恥ずかしくなった。
こっそり雅くんの顔を見ると、真っすぐ前を見ている凛々しい雅くんがいた。
「あの……澪さん」
「何?」
「手繋いでもいいですか?」
さっきは強引に手を取ったというのに、今度は叱られた子犬のような顔をして聞いてきた。
「レイ?」
その時、突然後ろから名前が呼ばれた。雅くんはすぐに振り返ったが私は動けなくなった。
聞き覚えのある声、発音だったからだ。
どうしてこんな場所にいるの? 薫さんのお気に入りのレストランは会社からこことは反対の場所にあるのに。
「澪さん、知り合い?」
雅くんが庇うように私の前に立った。
深呼吸をひとつして振り返れば、雅くんよりも体格のしっかりした肌の白い男性がこちらをじっと見つめていた。やめて、そんな目をしないでほしい。胸が焼かれるように首が見えない手で締められるように痛む。
「こんばんは。ラルフさん」
口をついて出たのは当たり障りのない挨拶だった。
知り合いだと気付いた雅くんは私の前から身体をずらした。それでも警戒しているように私にぴたりとくっついている。
「薫さんはどうされたんですか?」
「帰ってもらったよ。僕は興味のない女性とデートはしない。特に今夜は絶対にだ」
穏やかなラルフさんらしくない怒ったような声。
それよりも興味のない女性は薫さんのことなのか、でもラルフさんは薫さんと相思相愛だったんじゃ……。
「そんなことはどうでもいいんだ。レイ、隣りの彼は誰?」
雅が一歩前に出た。
「澪さんのファンです」
「何言ってるの、雅くんっ」
私は慌てた。
「だって本当のことやし……。あっ、じゃあ澪さんの恋人になりたいファンで」
ハンバーガーの注文でもするように朗らかに言う雅くん。
「あ、あの雅くんはうちの弟の同級生で」
「なるほど。じゃあ、君も僕と同じ仲間だ。ライバルでもあるけどね」
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