
恋愛短編集
第5章 母さんのオムライス
母さんの中では、あの女が来る前日を繰り返しているらしかった。
毎日、同じものしか買わない買い物。
必ず作られるオムライスが4つ。
いつも捨てられるオムライスが2つ。
そんな異常な生活をしていた。
何度も何度も気づかせようと頑張った。
声は出なくとも伝える手段はあるのだから。
でもその度に母さんは暴れて、壊れていった。
警察にもお世話になったし、病院に入れることも進められた。
でも、もうたった一人になってしまった家族と離れたくなくて、拒み続けた。
それが今のこの状況―。
