
恋愛短編集
第5章 母さんのオムライス
「聡っ」
屋上でいつもの様に寝ていると梓がやって来た。
そしてちょこんと俺の隣に座る。
「昨日のイチゴ、美味しかったかい?」
あー…イチゴ…
これは顔や行動だけじゃ表せなかったので、携帯を取り出し、そこに文字を打ち込んだ。
『今、冷蔵庫
今日の夜に食べる』
そしてその携帯を梓に渡すと、短い文をじっくりと読み、可愛らしい笑顔で頷いた。
あぁもう…その笑顔、完全に反則だろ…
思わず梓の頭をぐしゃぐしゃに撫でてやった。
髪の隙間から見える顔が、撫でられるがままの彼女が微笑ましい。
「聡、今日もお宅にお邪魔しても良いか?」
ん?何かあったっけ??
俺の"?"マークが出ていたのだろう。
梓がこっちを向いて俺の目を見て言う。
「特に用事がある訳ではないが、もっと聡と一緒にいたいんだ。玄関先でいい。遊びに行っても良いか?」
