
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
何かピリッとした痛みを感じ、目を開けた。
目を覚ますと隣に朗はいない。
眠気を帯びた瞼を擦りながら身体を起こす。
すると朗がベッドの端に腰掛けていた。
「おはよう」
「…ん」
私は挨拶を頷きで返す。
それに朗は苦笑いをして、唇に短いキスをくれた。
まるでしなければならない儀式のように、私には感じる。
もうそこに昔のような甘いものは感じられない。
唇が離れると私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「朝食出来てるから、着替えたらおいで」
そうやって朗は部屋を出ていく。
私はそのYシャツに包まれた背中を見つめる。
