
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
流石に悲しくなったが、やっぱり朗に心配して欲しくて…
効果がないって分かってても、更に言葉を紡いでしまう。
「その人、後輩なんだけど凄いイケメンなんだよっ」
少し涙声になってしまい泣きそうになるが、それでも必死に言った。
すると今度こそ朗の動きが止まり、ゆっくりと私を見る。
やった!やっと反応し―
「詩織、どうした?やけにお喋りだけど」
駄目だ。
私の心は朗には届かない。
暖簾を通り抜ける風のようにすり抜けてしまう。
やきもちを妬かせようとしたのに、こっちが悲しくなるよ。
もう…耐えられない。
