
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
そんなことを考えていると、また涙が出そうになる。
これ以上泣いたら身体の水分が渇れてしまいそうだ。
私は台所で水分補給をしようと思い、気持ちを切り替えてベッドから飛び降りた。
すると足下で、くしゃっ、という音がした。
何を踏みつけたのか不思議に思い、下を見る。
それは服屋のビニール袋だった。
これは…
正直今、見たくなかった。
一昨日、夏合宿の為にクローゼットの奥から取り出して置いておいたのだ。
床に置いておいた自分に腹が立つ。
袋の中身は、黒地に白いレースで縁取られたビキニ。
以前、朗と行った海のために買った水着―。
これ以外の水着はもう無かったので、夏合宿でこれを着ようと思っていたのだ。
