
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
朗との幸せな思い出が詰まっている、この水着…
あの時、この水着を可愛いって褒めてくれて、頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
でも、もうあの頃の朗はいない。
変わってしまった。
私だけが変わってなくて馬鹿みたい…
朗は私のこと、好きじゃないんだね。
……あぁ!もう!
私は水着の入った袋を、思いっきり壁に向かって投げつけた。
ぐしゃっという音の後に、ぽとりと落ちる軽い音。
こんな軽い音で自分のぐちゃぐちゃの感情が晴れる訳じゃない。
でも、悲しみはちょっとは収まった気がする。
いいよ!もう!!
勝手に海に行って、告白されればいいんでしょ?!
どうなっても知らないからね!
