
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
「詩織せんぱ~いっ!!」
更衣室から出ると、早速、駿君が満面の笑みで声をかけてきた。
「先輩、凄く似合ってます!美人さんは何を着てもさまになりますね!」
駿君の言葉に思わず苦笑いをしてしまう私。
私がひねくれてるだけかもしれないけど、下心丸見えである。
そんな私を知ってか知らずか、駿君は私の手を取り「遊びましょう!」と海へ連れて行く。
私は手を引かれながら、ぼんやりと駿君を眺めた。
流石はモテる男の子。
身体は引き締まり、甘いマスクがよく似合う。
水着姿が色気を出しており、きっと今日1日で何回もナンパされるんだろうなと思う。
こんな人に好かれてるなんて、どんなに幸せなことなのか…
でも、駿君の横顔が赤く染まっていても私は気づいていない振りをした。
