
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
それは皆で昼食を食べて、そろそろまた遊ぼうかという時だった。
「詩織先輩。ちょっといいですか?」
瞬間、周囲が色めき立つ。
皆からしたらようやくなのだろう。
しかしその反応が、私にとっては憂鬱の種である。
駿君は周囲からの冷やかしの声に顔を赤くしながらも、私を真っ直ぐに真剣に見ていた。
そうだよね、駿君は真剣なんだよね…
朗にもこんな風に真っ直ぐに見られたいな…
「いいよ。ここじゃなんだから、あっち行こ」
私はさっきとは逆に、駿君の手を引っ張って人気の無い方へと進んだ。
こんなにも真剣になってくれる駿君に、私も真剣に答えたい。
だからこそ、誰もいないところで話したかった。
