
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
しばらく駿君を引っ張って歩き、人気の無い更衣室の裏まで来た。
そこまで来て振り返ると、真っ赤な顔をして大人しくついて来た駿君がいた。
「で、どうしたの?」
私は手を離しながら聞いた。
どうしたなんて、最早分かりきっていることだが、それでも聞いた。
駿君はうつむいていて、表情が分からない。
私がこんなことをしてびっくりしているのだろうか?
それとも、どうやって告白するか考えているのだろうか?
だがしばらくすると、意を決したようで、ばっと顔を上げて私を見つめた。
その顔はかっこいいというよりは、焦ってしまって可愛くていとおしい。
