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恋愛短編集

第4章 反対側のキスマーク


「はぁ…はぁ……」


息を切らす私を上からじっと見つめる朗。

その顔は怒っているようで、物凄く怖い。

こんな朗の顔、見たことない。


「なんだよ…このキスマーク……」


朗の指が反対側のあの印に触れる。

その指は震えていた。


「なんだよ!これ!!俺じゃもう駄目なのか?!もう好きじゃないのか?!だから…他の奴と寝たのかよ?!?!」


朗は私を見ながら叫び続ける。

必死に私に何かを伝えるように―。


「嫌なら嫌って言ってくれ!嫌いなら振ってくれ!!じゃないと…俺は……」


最後の方は消えてしまっていた。

そして最初は怖かった顔も、悲しみに染まっていた。

唇を噛んで必死に何かに耐えている朗。

その顔を見ると、涙が止まらなかった。

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