恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
そして、そっと顎に手をかけられて、朗がキスしてくれた。
今度はさっきとは違って、優しくて甘い昔のようなキス。
もう義務的だなんて思わない。
こんなに幸せなキスだったのに、なんで気づかなかったんだろう。
朗はずっと私のことを考えてくれていたのに、どうしてひねくれた解釈しか出来なかったんだろう。
もちろん朗が予想以上に天然だったこともあるけど(笑)、私が信じられなかったのもある。
ごめんね…朗……
信じてなくてごめんね…
唇が離れると朗は首の左側に顔を埋めた。
いつもの赤い印。
ピリッという痛みがいとおしい。