記憶売りのヤシチ
第2章 真実
部屋を順に見ていくが、どこにもヤシチの姿はない。ただ一般的な和室が続くばかりだ。だが、そのどれもがどこか奇妙だった。何がそう思わせるのか…その答えはすぐに見つかった。
ちゃぶ台、座布団、桐タンス――部屋の中のものは一式揃っている。けれども…そう、そこには生活感がまるでなかった。暮らしの痕跡がまるでない。人の気配が、まったくなかったのだ。
だが、次に開けた部屋は少し様子が違った。ある一点だけはっきりと、無機質に統一された部屋の雰囲気から浮いていた。
それは、ちゃぶ台の上に置かれた一枚の絵。絵といっても大層なものではない。クレヨンで描かれた、拙い絵。…私が描いたものだ。懐かしい。
でもなぜここにあるのだろう、と一歩近づいた瞬間、頭に激痛が走った。
「うっ……!」
突然の激しい頭痛に、ガクリと座り込む。その時、足に違和感を見つけた。
「……!?」
文字列のようなものが、ふくらはぎの中ほどまで浮かび上がっている。なに、これ。さっきまではなかったはず。こんなもの、私は知らない。…いや。
いや、違う…私はこれを知っている。この不吉な文字列…いつかどこかで、確かに私は見たことがある。
頭を押さえながら、ふらふらと立ち上がる。不思議なことに、部屋を出ると頭痛は治まった。
ちゃぶ台、座布団、桐タンス――部屋の中のものは一式揃っている。けれども…そう、そこには生活感がまるでなかった。暮らしの痕跡がまるでない。人の気配が、まったくなかったのだ。
だが、次に開けた部屋は少し様子が違った。ある一点だけはっきりと、無機質に統一された部屋の雰囲気から浮いていた。
それは、ちゃぶ台の上に置かれた一枚の絵。絵といっても大層なものではない。クレヨンで描かれた、拙い絵。…私が描いたものだ。懐かしい。
でもなぜここにあるのだろう、と一歩近づいた瞬間、頭に激痛が走った。
「うっ……!」
突然の激しい頭痛に、ガクリと座り込む。その時、足に違和感を見つけた。
「……!?」
文字列のようなものが、ふくらはぎの中ほどまで浮かび上がっている。なに、これ。さっきまではなかったはず。こんなもの、私は知らない。…いや。
いや、違う…私はこれを知っている。この不吉な文字列…いつかどこかで、確かに私は見たことがある。
頭を押さえながら、ふらふらと立ち上がる。不思議なことに、部屋を出ると頭痛は治まった。