記憶売りのヤシチ
第1章 記憶の飴
…これを。
私は一つを指差しそう言った、…と思うのだが、自分でもわからない。言うが早いか、ふ、とそこで意識が途切れたのだ。
ふわり、と身体が浮くような感覚。まるで自分がここにいないかのような感覚に、びくりとして意識を取り戻す。
ゆっくりと、まぶたを押し上げる。…眠っていたようだ。開いたまぶたの間から差し込む光に、少し目を細めた。
ようやく明かりに慣れてきた目で見渡すと、そこは真っ暗闇などではなかった。和風の天井、壁。
どこかの屋敷の中のようだ。ここは、玄関なのだろう。自分がいつ、なぜ、どうやってここにきたのかわからないが、少なくともこれ以上留まる理由が今は見つからない。…帰ろう。
夢…だったのだろうか。でも今は、それよりも。
石畳のひんやりとした感触。少し身震いをして立ち上がると、自分がもたれかかっていたの柱の横に、木の扉を見つけた。
そういえばなんだか口の中に違和感があるなあと思いながら、外へ繋がるだろう扉に手を伸ばす。金属製の取っ手をつかみ、押し開ける…が、ガチャ、と扉は動きを止めた。どうやら鍵がかかっているようだ。
私は一つを指差しそう言った、…と思うのだが、自分でもわからない。言うが早いか、ふ、とそこで意識が途切れたのだ。
ふわり、と身体が浮くような感覚。まるで自分がここにいないかのような感覚に、びくりとして意識を取り戻す。
ゆっくりと、まぶたを押し上げる。…眠っていたようだ。開いたまぶたの間から差し込む光に、少し目を細めた。
ようやく明かりに慣れてきた目で見渡すと、そこは真っ暗闇などではなかった。和風の天井、壁。
どこかの屋敷の中のようだ。ここは、玄関なのだろう。自分がいつ、なぜ、どうやってここにきたのかわからないが、少なくともこれ以上留まる理由が今は見つからない。…帰ろう。
夢…だったのだろうか。でも今は、それよりも。
石畳のひんやりとした感触。少し身震いをして立ち上がると、自分がもたれかかっていたの柱の横に、木の扉を見つけた。
そういえばなんだか口の中に違和感があるなあと思いながら、外へ繋がるだろう扉に手を伸ばす。金属製の取っ手をつかみ、押し開ける…が、ガチャ、と扉は動きを止めた。どうやら鍵がかかっているようだ。