なんやかんやでモテる主人公
第9章 ありきたりな温もり
指ですくってとってくれる兄。
「あ…ありがと…」
「んー朝から可愛いなーおい!!!」
そう言って、指についたジャムを舐める兄…
いつもなら″変態!!消え失せろクズ!!″
などの罵声を浴びせる私だが……
今日も…昨日も……そのまた昨日も…
迷惑をかけている私にそんな事言う権利などないと思って…ぐっと我慢した。
「もー。お兄ちゃんの、えっちー♡」
「南。お前…熱あるのか?」
ゲシッ…
横たわる兄。
「せ…せっかく…甘えたのに……バカッ……//」
スクッと立ち上がった兄は
「お前…。今、甘えたと言ったな?!」
「そ…そうだけど……ダメだった…?」
「くううぅぅぅ………」
「泣くならもう一生しない。死ぬまでしない」
「な……泣いてねえし!!まあ…南が少しずつ、俺になついてきた証拠…「行ってきま~す!」
人の話は最後まで聞け!!っと
言わんばかりの目で私を見る兄。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ありがとね?」
バタン……
ドアが閉まる音と同時に何かが
家の中で倒れた音がしたけど、きっと気のせいであろう。
外はまだ真っ暗。
昨日の雪……積もってんじゃん!
私はサクサクなる足音を楽しみながら
足早に、彼の元へと向かった。