なんやかんやでモテる主人公
第9章 ありきたりな温もり
ダムダムダム……ガシャン!
朝、バスケのゴールがある公園でただ1人。
バスケの練習をしている人を私は知っている。
「ゆう!!!!」
公園を囲っているフェンス越しから叫んでみる。
白い息を吐いた彼はこっちに振り返って
「何?誰?」
そう言った…
誰とか…素直に傷つくっつーの。
AM5:58
冬の空はまだ暗くて…
シン…っとしている空気の中には
彼のつくボールの音。
彼の息遣い。
ゴールを必死に狙う音。
それらが響き渡っていて何とも
非日常的な感じがした。
「誰かさん。いつまでこうしてるの…っ?」
ガシャン…
「…っ……ゆうが許してくれるまで…」
「は?意味わかんねえから…っ」
ガシャン……
私は彼の姿を見るように、コートの後ろのベンチで三角座りをして、練習を眺めていた。
ガシャン…
「誰かさんがいるから、調子でねえわ」
そう言って私の方を冷たく見るゆう。
……ポロッ
「えぇぇ!ちょっ……おまえっ……泣くなよ……っ」
「……んっ……ぐすっ……うわぁあああん…」
もうどうでもよくなってきた。
今まで必死に考えてきてバッカみたい!
寒い寒い外で涙は頬を伝う。
……冷たい。