なんやかんやでモテる主人公
第9章 ありきたりな温もり
ボールをポロッと落としたゆうは
私を抱きしめた。
バンバンバンバンー‥‥
バウンドするボールの音はどんどん
遠くなって……私の耳元で聞こえるのは、ゆうの息遣いのみとなった。
「泣くとか卑怯だからな」
「……っ……ごめ…ん……っ…」
「あー!!もう!!誰かさんのせいで部活も試合前だってのに全然集中できねえし……責任とれっつーの!!」
ぎゅっ…
「お前がいねえと……不安なんだよ
…」
「……ごめん…ねっ……」
「まだ…許した訳じゃねえから…っ!」
また強く抱きしめるゆう。
言ってる事と、やってる事逆だからね…
ゆう…許してなんか言わない……
でもね?
こんな卑怯な私を見捨てないで?
って思っちゃうの…
1人が怖いからかな…
ううん…きっと…裏切られるのが怖いだけなんだ……。
私はゆうを裏切るのに…ゆうは、そんな私を包んでくれる……
私ってどこまで……甘えれば…気が済むんだろう?
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