テキストサイズ

♡Hなアパート生活♡

第22章 修羅場

制服を整えて公園から出る。

もちろん手もつながないし、ふたりとも何も言わなかった。





そのときー…





制服をきた陽とばったり会ってしまった……





…ガッッ!!





「お前…!結花に何したんだよ!!」





陽は私たちの姿を見るやいなや、浩太の胸ぐらをつかんだ。





「なにって…」

「結花、泣いてんじゃねえかよ!なに泣かせてんだよっ!!」





いつも冷めたような陽の、こんな感情的な声…初めて聞いた。





「お前、彼氏だろ?!ちゃんと結花のこと、守れって言ったろ!!」



ボカッッ!!



陽が浩太の右頬を殴った。
浩太はよろけて、地面に倒れ込む。






「陽っ…陽!やめて…!ちがうの…っ」






また殴りかかろうとする陽の体にしがみついた。

浩太は右の口端が少し切れて血がでていた。それを手で拭いながら、自嘲気味に笑った。




「……ハッ、そういうこと…。やっぱりできてたんだ」
「ちげえよ」




浩太は陽に返事はせず、私の方を向いた。



「こいつが同じ高校だってのも知ってたんだ」



……コクッ…



私は陽の体にしがみついたまま、うなずく。



「……何も知らないのは俺だけかよ。かっこ悪ぃ…」





浩太はゆっくりと立ち上がる。




「浩太…ちがうの…ほんとに陽とは…」



私は浩太に駆け寄って腕をつかもうとしたが、浩太はそれを振り払った。



「付き合ってなんかねえよ。結花が好きなのはお前なんだから」

「……じゃなんでお前は俺を殴るんだよ」





陽は何も答えない。





「………ッ…」


浩太は悔しそうに舌打ちをすると、駅に向かって歩き出した。


「……浩太…」





私は後を追うことができなかった。
追いかけても何も言えない…

ただ立ち尽くしたまま、浩太の後ろ姿を見ていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ