テキストサイズ

♡Hなアパート生活♡

第27章 謎の来客

陽の部屋の前の、コンクリートのところに並んで座る。

いつもの陽と様子がちがう。

軽口をたたくわけでも、手を出してくるでもなく、ただただ黙っていた。

私も何もしゃべらず、ただ隣に座る。


 



 
ーー…どのくらい時間がたったのかな。

陽がポツリと話し始めた。



「…お前はさ、自分の父親と母親って好き?」
「…え…?…う~ん……お母さんは好き。お父さんは…変だし、キモいし…でもいなくなったら…さみしいかな」



突然娘ひとりを置いてインドへ行ってしまう両親だとしても

私にとってはかけがえのない家族だ。



「そっか。俺は…あんな男、父親だと思っていないし、母親は…」



そこで陽はいったん口をつぐんだ。






「………母親が…死ぬかもしれないんだってさ」






「………えぇっ…?!」
「こないだ、あの男が来たとき、そう言ってた」
「そんな…大変じゃん!早く実家帰らないと!」



「実家に帰ってもいないよ。母親は俺が小さい頃に家出て行ったんだ。

そんで、今は病院に入院してるって言ってた」

「そうだったんだ……」



「あの男は仕事だ仕事だって言って、ちっとも家に帰ってこないで、外にたくさん愛人作ってたんだよ。



母さんだって…出て行くとき、俺を置いて行った。



それって、俺なんていらないってことだろ…



これまで一度も会いに来たこともなかったんだ。

それを今さら…死にそうだから、会いに行ってやれなんて言われたって……



行くわけないだろ……っ…」



陽はどんっと拳で地面を殴りつけた…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ