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陽はドアの前で、少しためらうように立ち止まる。

ドアをノックしようと、軽く握られた手が、小さく震えてる…



ぎゅうっ…



私は思わずその手を両手で握った。

陽は驚いた目で私を見つめる。

そして、コクっとうなずくと、小さく深呼吸をして、病室のドアを叩いた。





コンコンッ…





「はぁい、どうぞ」





中から、細い綺麗な声が返ってきた。

陽はもう一度深呼吸をして、目をつぶる。

そして意を決して、中に入った。












「………………よ…う…？」



半分だけ体を起こしてベッドに寝ていた女性は、驚きのあまり声も出ないのか、小さくそうつぶやいた。



「…………母さん」



陽と同じ少し明るい茶色の髪の毛
長くて綺麗なその髪は、片方に寄せられ結ばれている。

全体的に細くて、白い肌

とても綺麗な人。

これが…陽のお母さん…





「……もっと…近くで顔を見せて」





陽はゆっくりベッドに近付く。

陽のお母さんは、その細い指で陽の頬に触れた。





「…………本当に、陽なのね……夢かと思ったわ……

……………まさか来てくれると思わなかった……」





存在を確かめるように、そっと陽の輪郭をなぞる。

お母さんは嬉しそうに微笑んだ。