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「………陽、お母さんね、今詳しい検査をしているんだけれど、検査が終わったら、病院を出ようと思うの」

「えっ？」



……それって…もう治療法がない…
本当に治らない病気ってこと…？






「実はね、またお父さんと暮らそうと思うの。

お父さんが…うちで一緒に暮らそうって言ってくれたから…

それでね、陽…






あなたにも家に戻ってきてほしいのよ」






………陽が…

あのアパートから出て行く…？






「これまでずっとごめんね。
もし陽が許してくれるなら、またみんなで暮らしたいの…



少し考えてみて……」






私の場所からは陽の顔が見えない。

今のお母さんの話を、陽がどんな想いで聞いていたのか…

私にはわからない……






「…………………俺、帰るわ」



陽は立ち上がる。



「うん。今日は来てくれて本当にありがとう。

気をつけて帰りなさい」



陽はお母さんの方を振り向かずに病室を出て行った。

私はお母さんに会釈をして、慌てて後を追いかける。

お母さんはにっこりと、手を振っていた。