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♡Hなアパート生活♡

第29章 さよなら

はぁっ…はぁっ…



こんなに全力で走ったのなんていつぶりだろう

洋服も髪も乱れるけど、気にせずにとにかく走った。

お願い、間に合って…

陽………っ!!









急いで改札の中に入る

あ~!どっち方面か分からない…!



とりあえず近い方のホームに行って
辺りを見渡しながら、端から端まで走る



陽…どこにいるの…?



あっ…いた……!!



陽は向かいのホームにいた。



「陽!!!陽~~~~っ!!!!」



大声で叫んだけど、陽は振り向かない
届かない………



向かいのホームに、電車が到着する旨のアナウンスが流れた。



………陽が行っちゃう…!!



猛ダッシュで階段を降りて、向かいのホームへ急ぐ。

さっきから、私の目立ちすぎる行動に、周りの人の視線を感じる…

でも今はそんなの気にしてられない!!



はぁっはあっはあっ………



向かいのホームへのぼる階段を駆け上がる。



も……限界………



電車が到着した音が聞こえて、降りてきた人たちが階段を降りてくる。

たちまち多くの人で道が塞がれて、思うように進めない。



通して……

お願い、通して!!








降りてきた人たちをかき分けて、なんとかホームに着いたけど

そのとき、電車は非情にも出発してしまった…………








……………間に合わなかった……








「………行っちゃった…」







涙がこぼれる。



いっぱい走ったけど間に合わなかった



ようやく、自分の気持ちに気付いたのに



もっと早く素直になればよかった



陽に言いたいこと、たくさんあったのに、さよならも言えないの?



私たち…もう会えないの?





「……陽……陽………!!」





私は人目もはばからずに、ホームに座り込んで泣いた。

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