
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
急に黙り込んでしまった留花を愃が気遣わしげに見やる。
「どうした?」
「愃さまはそれで良いのですか?」
「それで良いとは、一体どういう意味だ?」
愃は木匙を持つ手を止め、留花を真正面から見つめた。
「ささやかな幸せといえば聞こえは良いけれど、私が住んでいる世界は愃さまが今、ご覧になっているような本当にその日を暮らしてゆくのがやっとという有り様なのです。愃さまは昨夜、私に妻になって欲しいとおっしゃいましたが、果たして本当にそのようなことが可能なのかどうか、今も私には判らないのです」
留花は途中で幾度も泣きそうになりながらも、自分を懸命に鼓舞して言い切った。
「留花は、私たちのことをどう考えている? 私が両班ゆえ、甘い科白でそなたを惑わし、気紛れでそなたを抱いたとでも思っているのか?」
愃の口調はあくまでも穏やかではあったが、その表情はとても真剣なものだった。
「どうした?」
「愃さまはそれで良いのですか?」
「それで良いとは、一体どういう意味だ?」
愃は木匙を持つ手を止め、留花を真正面から見つめた。
「ささやかな幸せといえば聞こえは良いけれど、私が住んでいる世界は愃さまが今、ご覧になっているような本当にその日を暮らしてゆくのがやっとという有り様なのです。愃さまは昨夜、私に妻になって欲しいとおっしゃいましたが、果たして本当にそのようなことが可能なのかどうか、今も私には判らないのです」
留花は途中で幾度も泣きそうになりながらも、自分を懸命に鼓舞して言い切った。
「留花は、私たちのことをどう考えている? 私が両班ゆえ、甘い科白でそなたを惑わし、気紛れでそなたを抱いたとでも思っているのか?」
愃の口調はあくまでも穏やかではあったが、その表情はとても真剣なものだった。
