
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
「いいえ! そのようなことは、愃さまがそんな卑劣なことをなさる方だとは考えてもいません。でも―」
「また、昨日の同じ科白を繰り返すつもりか? 住む世界が違うからと?」
留花は震えながら頷いた。
「今日が終わったら、もう二度とここには来ないで頂きたいのです」
「何故だ? どうして留花は否定的なことばかり考えようとする? 住む世界が違っても、私は一向に構わない。むしろ、私はずっとそなたとこの家で夫婦として暮らしてゆきたいと考えているほどなのだぞ」
留花は堪らず両手で顔を覆った。低いすすり泣きが洩れ、愃はしばらく何かに耐えるような表情でその様を見つめていた。
「―判った。そなたがもう来るなと言うなら、私は来ない。そなたを哀しませ泣かせるのは本意ではないからな」
愃は小卓に木匙を置くと、立ち上がった。そのまま狭い室を横切り、両開きの扉を開ける。
「また、昨日の同じ科白を繰り返すつもりか? 住む世界が違うからと?」
留花は震えながら頷いた。
「今日が終わったら、もう二度とここには来ないで頂きたいのです」
「何故だ? どうして留花は否定的なことばかり考えようとする? 住む世界が違っても、私は一向に構わない。むしろ、私はずっとそなたとこの家で夫婦として暮らしてゆきたいと考えているほどなのだぞ」
留花は堪らず両手で顔を覆った。低いすすり泣きが洩れ、愃はしばらく何かに耐えるような表情でその様を見つめていた。
「―判った。そなたがもう来るなと言うなら、私は来ない。そなたを哀しませ泣かせるのは本意ではないからな」
愃は小卓に木匙を置くと、立ち上がった。そのまま狭い室を横切り、両開きの扉を開ける。
