
手紙~天国のあなたへ~
第5章 夫婦
夫婦
愃は大体数日から十日に一度ほどの割合で通ってきた。臥所を共にしても、帰るのはいつも夜明け前で、確かに人眼を避けているように思えないでもなかった。
愃との初夜の翌朝以来、成洙とは顔を合わせることがあっても、ろくに話すことはなかった。成洙の方は何か話したそうな表情なのだが、留花が無視したのだ。幼い頃から娘か姪のように可愛がって貰ったことを思えば、できれば謝って以前のように〝成洙おじさん〟と甘えてみたかった。
しかし、留花が愃と縁を切らない限り、成洙もまた留花を元どおりに受け容れてはくれないことも判っている。今のままでは、なすすべはなかった。
愃は自分たちが夫婦だとは言っているが、実のところ、正式に婚礼を挙げたわけでもない。
愃は大体数日から十日に一度ほどの割合で通ってきた。臥所を共にしても、帰るのはいつも夜明け前で、確かに人眼を避けているように思えないでもなかった。
愃との初夜の翌朝以来、成洙とは顔を合わせることがあっても、ろくに話すことはなかった。成洙の方は何か話したそうな表情なのだが、留花が無視したのだ。幼い頃から娘か姪のように可愛がって貰ったことを思えば、できれば謝って以前のように〝成洙おじさん〟と甘えてみたかった。
しかし、留花が愃と縁を切らない限り、成洙もまた留花を元どおりに受け容れてはくれないことも判っている。今のままでは、なすすべはなかった。
愃は自分たちが夫婦だとは言っているが、実のところ、正式に婚礼を挙げたわけでもない。
