
手紙~天国のあなたへ~
第5章 夫婦
その日の夕食は留花が腕によりをかけたご馳走が並んだ。愃がいつ来ても良いように、買い物に出て食材は常に確保している。
「ちょっと待っていて下さいね」
そう声をかけてから、留花は既に下ごしらえの済んでいた料理の最後の仕上げに掛かる。
今日はこのご馳走が無駄にならなくて良かったと、つくづく思う。三日前は、折角作ったご馳走を棄てる羽目になって、棄てている中に哀しくて泣いてしまった。
最近は成洙だけでなく、他の隣人たちとも疎遠になっている。一、二度ならともかく、三(み)月(つき)もの間、両班の男が夜な夜な通ってきていては、愃の存在が他人に知られないはずがない。
―香順の孫娘は生活のために、両班に身を売っている。
そんな根も葉もない噂がまことしやかに囁かれている。
「ちょっと待っていて下さいね」
そう声をかけてから、留花は既に下ごしらえの済んでいた料理の最後の仕上げに掛かる。
今日はこのご馳走が無駄にならなくて良かったと、つくづく思う。三日前は、折角作ったご馳走を棄てる羽目になって、棄てている中に哀しくて泣いてしまった。
最近は成洙だけでなく、他の隣人たちとも疎遠になっている。一、二度ならともかく、三(み)月(つき)もの間、両班の男が夜な夜な通ってきていては、愃の存在が他人に知られないはずがない。
―香順の孫娘は生活のために、両班に身を売っている。
そんな根も葉もない噂がまことしやかに囁かれている。
