
手紙~天国のあなたへ~
第2章 雪の記憶
万が一、そんな事態になっては一大事だ。
留花はチョゴリの袖に手を突っ込むと、小さな巾着袋(チユモニ)を取り出そうとした。
だが、幾ら探してみても、袖の中には何もない。自分の勘違いかと思い、慌ててもう一方の袖も手探りで探してみたけれど、財布代わりの巾着は影も形もなかった。
あの巾着には柳家の奥さまから頂いた今月分の仕立賃がすべて入っていた。あれをすべてこの男にやってしまえば、あとひと月、留花と祖母は家にあるだけの食糧で食い繋いでゆかなければならない。
しかし、何の罪もない幼い子どもたちが首を括る羽目になるのを見るよりは、自分たちが耐え忍んだ方がマシだ。
留花は焦った。それにしても、面妖なこともあるものだ。確かに左の袖にしまったはずの巾着が消え果ててしまうとは。
留花はチョゴリの袖に手を突っ込むと、小さな巾着袋(チユモニ)を取り出そうとした。
だが、幾ら探してみても、袖の中には何もない。自分の勘違いかと思い、慌ててもう一方の袖も手探りで探してみたけれど、財布代わりの巾着は影も形もなかった。
あの巾着には柳家の奥さまから頂いた今月分の仕立賃がすべて入っていた。あれをすべてこの男にやってしまえば、あとひと月、留花と祖母は家にあるだけの食糧で食い繋いでゆかなければならない。
しかし、何の罪もない幼い子どもたちが首を括る羽目になるのを見るよりは、自分たちが耐え忍んだ方がマシだ。
留花は焦った。それにしても、面妖なこともあるものだ。確かに左の袖にしまったはずの巾着が消え果ててしまうとは。
