
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
しかし、いつまでも知らん顔はできなくなってきた。六月くらいまではほぼ十日おきに訪れていた愃の訪れが、ふっつりと絶えたのだ。以前も似たようなことがあったのだから―と自分に言い聞かせ平静を保とうとしてみたけれど、愃は今度こそ本当に姿を見せなくなってしまった。
近所の中年の女房連中たちは寄ると触ると、留花のこの有り様について噂しているらしい。近くの川に留花が洗濯や野菜を洗いに行って一緒になっても、意味ありげに顔を見合わせ互いに頷き合いながら、何やらひそひそと囁き合っている。
―あのふしだらな娘は男に騙されて良いように弄ばれた挙げ句、とうとう棄てられたのさ。
彼女たちが自分について何と言っているかは知れている。皆、十八の留花から見れば、母親ほど歳の離れた女たちであり、彼女たちの娘の中には幼い頃、一緒に遊んだ幼なじみもいる。が、母親たちからよくよく言い諭されているのか、その昔なじみたちも愃の存在が知られてからは、留花に近寄ろうともしない。
近所の中年の女房連中たちは寄ると触ると、留花のこの有り様について噂しているらしい。近くの川に留花が洗濯や野菜を洗いに行って一緒になっても、意味ありげに顔を見合わせ互いに頷き合いながら、何やらひそひそと囁き合っている。
―あのふしだらな娘は男に騙されて良いように弄ばれた挙げ句、とうとう棄てられたのさ。
彼女たちが自分について何と言っているかは知れている。皆、十八の留花から見れば、母親ほど歳の離れた女たちであり、彼女たちの娘の中には幼い頃、一緒に遊んだ幼なじみもいる。が、母親たちからよくよく言い諭されているのか、その昔なじみたちも愃の存在が知られてからは、留花に近寄ろうともしない。
