
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
できるだけ誰もいない時間帯を狙って行くのだが、そんなときでも大抵、誰か先客がいる。彼女たちは皆、その日暮らしの家庭の主婦ばかりで、中には自分でもふかし饅頭を作って市で売ったり、更には小さな飯屋の仲居として働いている。仕事を持っている女も少なくはない。亭主の稼ぎだけではたくさんの子どもを養えず、夫婦で朝から晩まで働きどおしで働いているのだ。ゆえに、洗濯に来るの時間帯もまちまちである。
なので、結局、留花は洗濯物を溜め込むことになり、こんな雨の日に慌ただしく洗濯に出かけることになってしまうのだ。
雨避けに蓑と笠を被った留花をギロリと睨めつけ、成洙は鼻を鳴らした。
「だから言わんこっちゃねえ。お前は男に棄てられたんだ。俺がこうなることは眼に見えているからとあれほど止めたのに、お前は俺の話をちっとも聞こうとしなかったじゃねえか」
なので、結局、留花は洗濯物を溜め込むことになり、こんな雨の日に慌ただしく洗濯に出かけることになってしまうのだ。
雨避けに蓑と笠を被った留花をギロリと睨めつけ、成洙は鼻を鳴らした。
「だから言わんこっちゃねえ。お前は男に棄てられたんだ。俺がこうなることは眼に見えているからとあれほど止めたのに、お前は俺の話をちっとも聞こうとしなかったじゃねえか」
