
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
留花の可憐な面に花のような微笑がひろがった。
「やはり、他の大勢の両班の殿方のように、あなたさまも私をお棄てになるのですか?」
駄目、これ以上、言ってはいけないと、もう一人の留花が止めている。それでも、言葉は止まらなかった。
いつしか留花の黒い瞳から大粒の涙が湧き出ていた。所詮、すべてが嘘にすぎなかったのだ。〝愛している〟、〝一生守る〟―、初めて腕に抱かれて眠った夜の誓いの言葉すら、愃にとっては何の意味もない代物だったのだろう。まるで行きずりの犬に餌を投げ与えるかのように、世間知らずの小娘に甘い科白を注ぎ込み、その気にさせたのだ。
「あなたさまが私におっしゃったことはすべて嘘、私たちの間は真っ赤な偽りに満ちたものにすぎなかったのですね」
「やはり、他の大勢の両班の殿方のように、あなたさまも私をお棄てになるのですか?」
駄目、これ以上、言ってはいけないと、もう一人の留花が止めている。それでも、言葉は止まらなかった。
いつしか留花の黒い瞳から大粒の涙が湧き出ていた。所詮、すべてが嘘にすぎなかったのだ。〝愛している〟、〝一生守る〟―、初めて腕に抱かれて眠った夜の誓いの言葉すら、愃にとっては何の意味もない代物だったのだろう。まるで行きずりの犬に餌を投げ与えるかのように、世間知らずの小娘に甘い科白を注ぎ込み、その気にさせたのだ。
「あなたさまが私におっしゃったことはすべて嘘、私たちの間は真っ赤な偽りに満ちたものにすぎなかったのですね」
