
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
「お早うございます、成沫(ソンス)おじさん(アデユツシ)」
留花は黙々と雪を積み上げている男の一人に気軽に声をかける。
他の大勢の男たちが賑やかに談笑しながら作業をしている中で、この成沫だけがむっつりと黙り込んでいる。その姿は他の連中から孤立しているように見えないわけでもない。
「ごめんなさい、おじさん。私がうっかり寝坊してる間に、うちの分の雪かきまでしてくれたのね」
よくよく見ると、成沫の家の屋根にはまだ降り積もった雪がそっくりそのまま残っているが、留花の家の屋根には殆ど雪がない。入り口に面した表も人ひとりが通り抜けるのに十分なほどの広さは地ならしが済んでいる。
「良いってことよ。力仕事は女の出る幕じゃねえ。それより、買い物か?」
成沫は寡黙ではあるが、けして性根の悪い男ではない。人が嫌いというより、人との付き合いが苦手なのであり、感情表現が下手な不器用な質なのだ。
留花は黙々と雪を積み上げている男の一人に気軽に声をかける。
他の大勢の男たちが賑やかに談笑しながら作業をしている中で、この成沫だけがむっつりと黙り込んでいる。その姿は他の連中から孤立しているように見えないわけでもない。
「ごめんなさい、おじさん。私がうっかり寝坊してる間に、うちの分の雪かきまでしてくれたのね」
よくよく見ると、成沫の家の屋根にはまだ降り積もった雪がそっくりそのまま残っているが、留花の家の屋根には殆ど雪がない。入り口に面した表も人ひとりが通り抜けるのに十分なほどの広さは地ならしが済んでいる。
「良いってことよ。力仕事は女の出る幕じゃねえ。それより、買い物か?」
成沫は寡黙ではあるが、けして性根の悪い男ではない。人が嫌いというより、人との付き合いが苦手なのであり、感情表現が下手な不器用な質なのだ。
