
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
祖母の痛風に効く薬は何でも栽培するのはとても難しく、自生した薬草から作るしかないという。山中に分け入って血眼になって探してもなかなか見つからぬ稀少種なので、その分、対価も高い。
それでも留花は祖母のためにその高価な薬を買い求め、飲ませてきたのだ。仕立物の内職は不定期で収入が入るため、毎回、きちんと薬代を支払うのは難しい。だが、留花は三回に一度、まとめて三回分を支払い、ツケで薬を持って帰っても、薬代を踏み倒したことはない。
薬屋の主人にしてみれば、貧しい小娘のことだから、いつ、タダで薬を持ち逃げされるかと警戒しているのだろう。
その日、留花を見た主人は、赤ら顔を露骨にしかめた。
「うちはもうツケでは売らないことにしたんだよ」
「どうしてですか? 私はこれまでちゃんと薬代はお支払いしてきたのに」
それでも留花は祖母のためにその高価な薬を買い求め、飲ませてきたのだ。仕立物の内職は不定期で収入が入るため、毎回、きちんと薬代を支払うのは難しい。だが、留花は三回に一度、まとめて三回分を支払い、ツケで薬を持って帰っても、薬代を踏み倒したことはない。
薬屋の主人にしてみれば、貧しい小娘のことだから、いつ、タダで薬を持ち逃げされるかと警戒しているのだろう。
その日、留花を見た主人は、赤ら顔を露骨にしかめた。
「うちはもうツケでは売らないことにしたんだよ」
「どうしてですか? 私はこれまでちゃんと薬代はお支払いしてきたのに」
