
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
夫婦別れの因も、男の金遣いの荒さにあったと知り、薬屋の主人は悔しさにその日一日、寝込んでしまった始末である。
「お困りなのは察しますが、私はその騙した人とは違います。どうか薬を分けて下さい。お願いします」
留花は三日前に柳家の奥方に貰ったばかりの仕立賃がつまった巾着を取り出し、主人に見せ懇願した。
「祖母にはどうしてもその薬が必要なんです」
「駄目だと言ったら、駄目だ。今日はたまたま金を持っているが、どうせ、この次はまた、ツケでよこせと言うに決まっている」
常連にコケにされたのがよほど悔しかったのか、薬屋の主人は紅い顔を更に朱に染めてがなり立てた。
「良い加減にしておくれ、こんな風に店先で喚き立てられては、うちが商売にならないだろう。長年、ツケで薬を売ってやった恩を思うどころか、逆に仇で返すような真似をしやがって」
「お困りなのは察しますが、私はその騙した人とは違います。どうか薬を分けて下さい。お願いします」
留花は三日前に柳家の奥方に貰ったばかりの仕立賃がつまった巾着を取り出し、主人に見せ懇願した。
「祖母にはどうしてもその薬が必要なんです」
「駄目だと言ったら、駄目だ。今日はたまたま金を持っているが、どうせ、この次はまた、ツケでよこせと言うに決まっている」
常連にコケにされたのがよほど悔しかったのか、薬屋の主人は紅い顔を更に朱に染めてがなり立てた。
「良い加減にしておくれ、こんな風に店先で喚き立てられては、うちが商売にならないだろう。長年、ツケで薬を売ってやった恩を思うどころか、逆に仇で返すような真似をしやがって」
