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手紙~天国のあなたへ~

第3章 血に濡れた鳳凰 

「これでそなたのお祖母さまの薬が買えるのであれば、安いものだ。あの欲深で疑い深い薬屋の主人も一回分と言わず一年分の薬代をまとめて払えば、もう文句は言うまい」
 ということは、この巾着の中身はそれだけの金が入っているということになる。
 留花の全身がカッと熱くなった。
「このようなものを頂くわけには参りません」
 留花は努めて冷静になろうとしたが、怒りが奥底から沸々と湧き出てくるのはどうしようもない。
「良いのだ」
 両班は何をどう勘違いしているのか、留花が遠慮しているものだと思ったようだ。
 留花は唇をこれ以上はないほど、きつく噛みしめた。

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