
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
その時、白いものが眼の前をよぎり、留花と男はほぼ同時に空を振り仰いだ。
「また、雪か」
口調とは裏腹に、むしろ嬉しげな響きがある。
「今年は初雪がいつもの年より遅いと思っていたが、降り出せば、実によく降るものだ」
「家を出たときには、あんなに良いお天気だったのに」
留花が少し恨めしげに空を見つめ呟くと、男は笑った。
「そなたは雪が嫌いなのか?」
「雪が嫌いというわけではないのです」
ややあってから、言い訳のように付け足した。
「雪が降ると、やっぱり、物凄く冷えるでしょう。お婆ちゃん(ハルモニ)の持病には寒いのは良くないんです。雪が降ると、お婆ちゃんは身体の節々が痛い痛いって、本当に苦しそうで、傍で見ている私の方が何とかして上げられないのが悔しいほど痛がるんですもの。だから―雪が降るのは厭なんです」
「また、雪か」
口調とは裏腹に、むしろ嬉しげな響きがある。
「今年は初雪がいつもの年より遅いと思っていたが、降り出せば、実によく降るものだ」
「家を出たときには、あんなに良いお天気だったのに」
留花が少し恨めしげに空を見つめ呟くと、男は笑った。
「そなたは雪が嫌いなのか?」
「雪が嫌いというわけではないのです」
ややあってから、言い訳のように付け足した。
「雪が降ると、やっぱり、物凄く冷えるでしょう。お婆ちゃん(ハルモニ)の持病には寒いのは良くないんです。雪が降ると、お婆ちゃんは身体の節々が痛い痛いって、本当に苦しそうで、傍で見ている私の方が何とかして上げられないのが悔しいほど痛がるんですもの。だから―雪が降るのは厭なんです」
