
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
二人が話し込んでいる間にも、雪はますます勢いを増してゆく。
「これはいけないわ。こんな路上でのんびりと立ち話していたら、風邪を引いてしまいます。むさ苦しいあばら屋ですが、良かったら、私の家においで下さいませ。雪を凌ぐくらいはできますから」
留花の言葉に、男は躊躇う素振りを見せた。
「大丈夫です。私は信用できないお方を家に無闇にお招き致したりはしません」
二度の出逢いで、留花はこの両班の人となりが判った。この男の名前すら知らないのに、信頼に足る人物だともう知っている。
先刻、祖母の薬代を肩代わりしようと申し出たのも、別に悪気があったわけではないのだ。恐らく、純粋に心から留花の助けになればと思っての咄嗟の行為に違いなかった。
祖母と二人だけの家に入れたからといって、この男が無体をしでかすような浅慮な人間ではないと直感が告げていた。
「これはいけないわ。こんな路上でのんびりと立ち話していたら、風邪を引いてしまいます。むさ苦しいあばら屋ですが、良かったら、私の家においで下さいませ。雪を凌ぐくらいはできますから」
留花の言葉に、男は躊躇う素振りを見せた。
「大丈夫です。私は信用できないお方を家に無闇にお招き致したりはしません」
二度の出逢いで、留花はこの両班の人となりが判った。この男の名前すら知らないのに、信頼に足る人物だともう知っている。
先刻、祖母の薬代を肩代わりしようと申し出たのも、別に悪気があったわけではないのだ。恐らく、純粋に心から留花の助けになればと思っての咄嗟の行為に違いなかった。
祖母と二人だけの家に入れたからといって、この男が無体をしでかすような浅慮な人間ではないと直感が告げていた。
