
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
それから、二人は急ぎ足で家路を辿った。小走りに先を急ぐ留花の後から男がついてくる。かなり急いだため、衣服はあまり濡れずに済んだ。
「こちらです」
留花が両開きの扉を開け、中に入るように促すと、男は靴を脱いで遠慮がちに上がった。
男の今日のいでたちは、臙脂のパジチョゴリに先日と同じ鐔広の帽子を被っていた。先日と違うのは、防寒用にパジの上に毛織りのチョッキを羽織っている点だろう。服はやはり絹のいかにも上等そうな布地を使っている。
入り口を入ってすぐの部屋には、祖母が眠っている。二人はいつもこの部屋で寝起きしているのだ。もっとも、ここ半年ばかり、祖母は殆ど寝たきりになってしまった。隣の小部屋は納戸代わりに物置として使っている。
「お婆ちゃん、突然だけれど、お客さまがおいでになったの」
「こちらです」
留花が両開きの扉を開け、中に入るように促すと、男は靴を脱いで遠慮がちに上がった。
男の今日のいでたちは、臙脂のパジチョゴリに先日と同じ鐔広の帽子を被っていた。先日と違うのは、防寒用にパジの上に毛織りのチョッキを羽織っている点だろう。服はやはり絹のいかにも上等そうな布地を使っている。
入り口を入ってすぐの部屋には、祖母が眠っている。二人はいつもこの部屋で寝起きしているのだ。もっとも、ここ半年ばかり、祖母は殆ど寝たきりになってしまった。隣の小部屋は納戸代わりに物置として使っている。
「お婆ちゃん、突然だけれど、お客さまがおいでになったの」
