
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
祖母の香(ヒヤン)順(スン)は眠っているのか、眼を閉じていた。寝ているだけになってしまってから、元々枯れ木のようだった手脚は更に痩せ細ってしまった。粗末な薄い掛け布団は、よくよく注意して見なければ、その下に人ひとりが横たわっているとは思えないほど平坦だ。
「お婆ちゃん?」
留花が声をかけても、香順はなかなか眼を開けない。
「良いのだ、折角眠っているところをわざわざ起こす必要はなかろう。このまま、そっと眠らせておいてあげてくれ」
男が小声で言うのに、留花は小さく頷いた。
「済みません。普段は耳聡いくらいで、ちょっとした物音にもすぐ眼を覚ますのに」
首を傾げながらも男の心遣いに感謝した時、香順の眼がゆっくりと開いた。皺に埋もれたように見える細い眼が動き、しばらくは焦点を求めてさまよった。
「お婆ちゃん、起きていたの?」
留花の声に、香順は一、二度、小さく瞬きを繰り返し、それから更に小さなしわぶきを一つした。
「お婆ちゃん?」
留花が声をかけても、香順はなかなか眼を開けない。
「良いのだ、折角眠っているところをわざわざ起こす必要はなかろう。このまま、そっと眠らせておいてあげてくれ」
男が小声で言うのに、留花は小さく頷いた。
「済みません。普段は耳聡いくらいで、ちょっとした物音にもすぐ眼を覚ますのに」
首を傾げながらも男の心遣いに感謝した時、香順の眼がゆっくりと開いた。皺に埋もれたように見える細い眼が動き、しばらくは焦点を求めてさまよった。
「お婆ちゃん、起きていたの?」
留花の声に、香順は一、二度、小さく瞬きを繰り返し、それから更に小さなしわぶきを一つした。
