
手紙~天国のあなたへ~
第2章 雪の記憶
留花は物心つく前に、両親を失うという不幸に見舞われた。その年の冬、都は例を見ない猛暑が続き、更に冬には飢饉と質の悪い風邪が流行った。留花の父と母はその疫病に生命を奪われたのだ。
幸いにも、留花には父の母、つまり祖母がいて、その人が育ててくれた。貧しくはあったが、留花は祖母から惜しみない愛情を与えられて成長した。その祖母が数年前から寝たり起きたりを繰り返すようになった。
当時で六十歳といえば、かなりの高齢であり、加えて祖母には痛風の持病があった。留花は粗末な夜具にくるまった祖母の枯れ木のように痩せ細った手脚を撫でたり、木匙で薄い粥を食べさせたりと甲斐甲斐しく世話をしている。
留花にとって、祖母はこの世でただ一人の身内であり、家族であり、なおかつ寄る辺のない幼かった彼女を育ててくれた親代わりでもあった。その祖母を養うために、仕立物の内職は欠かせない仕事だったのである。
幸いにも、留花には父の母、つまり祖母がいて、その人が育ててくれた。貧しくはあったが、留花は祖母から惜しみない愛情を与えられて成長した。その祖母が数年前から寝たり起きたりを繰り返すようになった。
当時で六十歳といえば、かなりの高齢であり、加えて祖母には痛風の持病があった。留花は粗末な夜具にくるまった祖母の枯れ木のように痩せ細った手脚を撫でたり、木匙で薄い粥を食べさせたりと甲斐甲斐しく世話をしている。
留花にとって、祖母はこの世でただ一人の身内であり、家族であり、なおかつ寄る辺のない幼かった彼女を育ててくれた親代わりでもあった。その祖母を養うために、仕立物の内職は欠かせない仕事だったのである。
