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手紙~天国のあなたへ~

第2章 雪の記憶

 柳家の女中としては、留花をせめて厨房に入れて、温かい蜂蜜湯でも呑ませてやりたかったのだけれど、もし、そんなところを奥さま(マーニン)に見咎められでもしたら、一大事だ。
 奥さまというのは、むろん柳家の夫人、当主千福の妻である。この夫人はたいそうな吝嗇(ケチ)で、いつも使用人を

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