
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
「馬鹿な娘だ。お前のような常民の娘がどんなに頑張ったって、両班の坊ちゃんの奥さまになれるわけがないだろう。酷い言い様かもしれないけれど、私らの身分では、側妾にだってなるのは難しいよ。私の言いたいことがこれで判っただろう? 愚かな夢を見るのは止めて、お前は自分にふさわしい良人を一日も早く見つけることだね。お前のように器量良しで気立ても良くて働き者の娘なら、聟の来手はたんとあるさ。何もわざわざ不幸になる道を選ぶ必要はない」
香順は決めつけるように言い、再び眼を閉じた。
留花は滲んできた涙をまたたきで散らし、祖母の傍らににじり寄る。
「ね、お婆ちゃん。本当のことを教えて」
「本当のことだって?」
「お婆ちゃんは、あの方を見た時、ひどく愕いていたでしょう。あの時、お婆ちゃんは間違いなく、あの方の未来を見たはずだわ。あの一瞬、お婆ちゃんが見たものを隠さず、すべて教えて欲しいの」
香順は決めつけるように言い、再び眼を閉じた。
留花は滲んできた涙をまたたきで散らし、祖母の傍らににじり寄る。
「ね、お婆ちゃん。本当のことを教えて」
「本当のことだって?」
「お婆ちゃんは、あの方を見た時、ひどく愕いていたでしょう。あの時、お婆ちゃんは間違いなく、あの方の未来を見たはずだわ。あの一瞬、お婆ちゃんが見たものを隠さず、すべて教えて欲しいの」
