
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
「お前の言うように、私はあの男の観相をした」
香順は常になく勿体ぶった言い方をする。
留花が身を乗り出すようにして訊ねた。
「それで? どうだったの、あの方の未来は?」
香順は苦笑めいた笑いを刻み、弱々しく笑った。
「そう急かすものではない。矢継ぎ早に問われても、一度に応えられるものではないからの」
けれど、留花には既に予感があった。祖母があの男と拘わるのを禁ずる理由は、恐らくは祖母がかいま見たあの人の未来に関係するに相違ない。
さもなければ、祖母がここまで頑なに留花の恋を止めようとするはずがないのだ。香順はいつだって留花に口煩いことは言わず、孫のすることをじっと見守ってくれていたのだから。
香順は常になく勿体ぶった言い方をする。
留花が身を乗り出すようにして訊ねた。
「それで? どうだったの、あの方の未来は?」
香順は苦笑めいた笑いを刻み、弱々しく笑った。
「そう急かすものではない。矢継ぎ早に問われても、一度に応えられるものではないからの」
けれど、留花には既に予感があった。祖母があの男と拘わるのを禁ずる理由は、恐らくは祖母がかいま見たあの人の未来に関係するに相違ない。
さもなければ、祖母がここまで頑なに留花の恋を止めようとするはずがないのだ。香順はいつだって留花に口煩いことは言わず、孫のすることをじっと見守ってくれていたのだから。
