
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
香順は疲れた表情でまた首を振った。
「私には判らぬ。ただ、途方もない大きな災いがやがてあのお方を襲い、あの方は嵐に巻き込まれるであろう。だから、私はお前にこれ以上、あのお方に拘わるなと告げたのじゃ。あのお人に惚れれば、一緒にいる者は皆、嵐に巻き込まれる。私はお前がみすみす不幸になるのを見たくはない」
「その災いを避けることはできないの?」
儚い希望を抱(いだ)いて訊ねてみても、返ってきた応えは無情なものであった。
「無理だ。留花や、よくお聞き。人の宿命は予め天が定め給うたものであって、人知の及ぶ領域ではない」
「でも! いつか、お婆ちゃんは商人の屋敷が火事になるのを言い当てたじゃない。占いの結果を信じて、その人の奥さんが気をつけたお陰で、その人の家は大火事にならずに済んだんだわ。あんな風に、危険を避けられるのではないの?」
「私には判らぬ。ただ、途方もない大きな災いがやがてあのお方を襲い、あの方は嵐に巻き込まれるであろう。だから、私はお前にこれ以上、あのお方に拘わるなと告げたのじゃ。あのお人に惚れれば、一緒にいる者は皆、嵐に巻き込まれる。私はお前がみすみす不幸になるのを見たくはない」
「その災いを避けることはできないの?」
儚い希望を抱(いだ)いて訊ねてみても、返ってきた応えは無情なものであった。
「無理だ。留花や、よくお聞き。人の宿命は予め天が定め給うたものであって、人知の及ぶ領域ではない」
「でも! いつか、お婆ちゃんは商人の屋敷が火事になるのを言い当てたじゃない。占いの結果を信じて、その人の奥さんが気をつけたお陰で、その人の家は大火事にならずに済んだんだわ。あんな風に、危険を避けられるのではないの?」
