
手紙~天国のあなたへ~
第3章 血に濡れた鳳凰
掴みかからんばかりの勢いの留花に、香順は薄く微笑った。
「確かに事件、事故の中には慎重に行動すれば、避けられるものもあるにはある。だが、国を揺るがすような重大事の場合、一人の人間がいかにあがこうと、動き出す運命の歯車を止めるすべはない」
国を揺るがすような重大事。その言葉は、留花の心に大きな石つぶてを投げ込んだ。
「あの方は、この国を揺るがすような重大事に巻き込まれ、最悪の場合、生命を失うかもしれないのね」
「残念だが、それが私の見たあの方の未来じゃった」
留花の頬を熱い雫がすべり落ちてゆく。
やがて、香順の皺だらけの手が留花の白いすべらかな頬を撫でた。
「可哀想に、生まれて初めての恋がこうも無惨な結果に終わるとはのう。私も何とかしてやりたいのは山々じゃが、こればかりは到底、手には負えん」
「確かに事件、事故の中には慎重に行動すれば、避けられるものもあるにはある。だが、国を揺るがすような重大事の場合、一人の人間がいかにあがこうと、動き出す運命の歯車を止めるすべはない」
国を揺るがすような重大事。その言葉は、留花の心に大きな石つぶてを投げ込んだ。
「あの方は、この国を揺るがすような重大事に巻き込まれ、最悪の場合、生命を失うかもしれないのね」
「残念だが、それが私の見たあの方の未来じゃった」
留花の頬を熱い雫がすべり落ちてゆく。
やがて、香順の皺だらけの手が留花の白いすべらかな頬を撫でた。
「可哀想に、生まれて初めての恋がこうも無惨な結果に終わるとはのう。私も何とかしてやりたいのは山々じゃが、こればかりは到底、手には負えん」
