
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
ただ一つ、救いであったのは、香順がさして苦しみもせずに天に召されたという事実のみである。
―恐らく眠っている間に、急な心ノ臓の発作でも起こったのじゃろうて。なに、ほんの一瞬のことだから、あまり苦しみはせなんだはずじゃ。
医者は帰り際、見送りに出た留花を慰めるように言った。
留花は気丈にふるまった。祖母の野辺送りをたった一人で出し、亡骸を町外れの墓地に葬った。近隣の知り合いたちが集まり、色々と世話を焼いてはくれたものの、すべてが終わった後、留花は本当に一人ぼっちになってしまった。
祖母を送り出すまで、留花は一度として人前で涙を見せなかった。別に意地を張ったわけでもないし、大好きだった祖母の死が哀しくなかったわけでもない。
―恐らく眠っている間に、急な心ノ臓の発作でも起こったのじゃろうて。なに、ほんの一瞬のことだから、あまり苦しみはせなんだはずじゃ。
医者は帰り際、見送りに出た留花を慰めるように言った。
留花は気丈にふるまった。祖母の野辺送りをたった一人で出し、亡骸を町外れの墓地に葬った。近隣の知り合いたちが集まり、色々と世話を焼いてはくれたものの、すべてが終わった後、留花は本当に一人ぼっちになってしまった。
祖母を送り出すまで、留花は一度として人前で涙を見せなかった。別に意地を張ったわけでもないし、大好きだった祖母の死が哀しくなかったわけでもない。
