
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
「どなた?」
勇気を振り絞って問いかけると、短い間があった。
「―私だ」
その声に、留花はバネ仕掛けの人形のように飛び上がった。急いで鍵を外し、両開きの扉を開ける。
「お祖母どののお加減はいかがかな?」
愃の陽溜まりのような笑顔が無性に懐かしく思えた。ほんの十日ほど逢っていないだけなのに、もう一年、いや十年も逢っていないような気がする。
留花の眼に熱いものが込み上げた。
愃の端整な面に驚愕がひろがる。
留花は最早、感情を抑え切れず、大粒の涙を零した。
それはごく自然ななりゆきであった。泣きながらぶつかってきた留花を、愃は無意識の中に両手をひろげて受け止めていた。
「一体、どうしたというんだ?」
最初、愃は何が何だか判らないようであったが、狭い部屋の片隅にひっそりと置かれている祭壇に眼を止めた。
勇気を振り絞って問いかけると、短い間があった。
「―私だ」
その声に、留花はバネ仕掛けの人形のように飛び上がった。急いで鍵を外し、両開きの扉を開ける。
「お祖母どののお加減はいかがかな?」
愃の陽溜まりのような笑顔が無性に懐かしく思えた。ほんの十日ほど逢っていないだけなのに、もう一年、いや十年も逢っていないような気がする。
留花の眼に熱いものが込み上げた。
愃の端整な面に驚愕がひろがる。
留花は最早、感情を抑え切れず、大粒の涙を零した。
それはごく自然ななりゆきであった。泣きながらぶつかってきた留花を、愃は無意識の中に両手をひろげて受け止めていた。
「一体、どうしたというんだ?」
最初、愃は何が何だか判らないようであったが、狭い部屋の片隅にひっそりと置かれている祭壇に眼を止めた。
