
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
愃が王室に連なる一族であり、そう遠くない将来、この国を揺るがす重大事件に巻き込まれるだろう―、そんな怖ろしい残酷なことを当人に告げられるものではない。
「そう、か。お祖母どのは何も言わなかったのか」
が、愃が留花の言葉をすべて鵜呑みにしているわけではないことは明白だ。
留花は息をするように嘘をつく―そういった器用な真似はできない。むしろ、考えたことはすべて顔に出ると祖母から笑われたほどの正直者なのだ。
愃はそれ以上、自分の未来については何も言わなかった。或いは応えのないことそのものが意味深な未来を示していると思ったのかもしれない。
「私はとうとう一人になってしまいました」
留花は哀しげに微笑み、今は小さな白木の位牌となってしまった祖母を見つめた。
「そう、か。お祖母どのは何も言わなかったのか」
が、愃が留花の言葉をすべて鵜呑みにしているわけではないことは明白だ。
留花は息をするように嘘をつく―そういった器用な真似はできない。むしろ、考えたことはすべて顔に出ると祖母から笑われたほどの正直者なのだ。
愃はそれ以上、自分の未来については何も言わなかった。或いは応えのないことそのものが意味深な未来を示していると思ったのかもしれない。
「私はとうとう一人になってしまいました」
留花は哀しげに微笑み、今は小さな白木の位牌となってしまった祖母を見つめた。
