
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
留花はこのような場合、誰もが口にするようなことを言った。
愃にはそれも腹立たしかったようだ。
「身分の違いが一体、何だというのだ? そのようなものは私にとって何の意味もない。私にはそなたが必要なのだ。私の望みは、そなたの傍にいて、そなたの笑顔をいつも見ていたい―ただそれだけなのに」
最後は振り絞るような切なげな口調になった。それは、まさしく恋する男の本音が滲み出た心情の吐露に他ならなかった。
「愃さま―」
視線と視線が切なく交わる。
どちらからともなく差しのべ合った手が互いの手を掴み、やがて二人はもつれ合うようにしてその場に倒れ込んだ。
「もう一度だけ言う、私の妻になってくれ。留花」
留花が頬を染めて、かすかに頷く。
その眼尻に涙の雫が溜まっているのを目ざとく見つけ、愃はそっと唇で涙を吸い取った。
愃にはそれも腹立たしかったようだ。
「身分の違いが一体、何だというのだ? そのようなものは私にとって何の意味もない。私にはそなたが必要なのだ。私の望みは、そなたの傍にいて、そなたの笑顔をいつも見ていたい―ただそれだけなのに」
最後は振り絞るような切なげな口調になった。それは、まさしく恋する男の本音が滲み出た心情の吐露に他ならなかった。
「愃さま―」
視線と視線が切なく交わる。
どちらからともなく差しのべ合った手が互いの手を掴み、やがて二人はもつれ合うようにしてその場に倒れ込んだ。
「もう一度だけ言う、私の妻になってくれ。留花」
留花が頬を染めて、かすかに頷く。
その眼尻に涙の雫が溜まっているのを目ざとく見つけ、愃はそっと唇で涙を吸い取った。
