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手紙~天国のあなたへ~

第2章 雪の記憶

 留花はこれから、この寒い中を祖母の待つ家まで帰るのだ。神仏も無慈悲なことをなさる。せめて、あの優しい娘が家に辿り着くまでは雪など降らさなくても良いものを。
 女中はしばらくその場に立っていたが、やがて重たげに垂れ込めた鉛色の空を見上げ、ぶるっと身を震わせ慌てて屋敷の中に入った。

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