
手紙~天国のあなたへ~
第4章 野辺送り
しばらく二人共に黙って木匙に飯や汁を掬っては口にしていたが、ふと、留花が小首を傾げた。
「愃さま。私の料理はお口に合いませんか?」
王族にしろ、両班にしろ、愃が留花とは住む世界が違う人なのは確かだ。そんな彼が普段から口にする豪奢な食事に比べれば、麦飯と汁だけの粗末な食事は食事とも言えないかもしれない。
先刻から、愃は木匙を手にしたまま、じいっと留花を見つめていた。既に汁物は空になり、飯の入った丼も半ば以上は減っていたが、今は手が止まった状態だ。
「いや、留花は可愛いなと思って」
愃はいきなり臆面もなくそんなことを言って、留花は耳まで紅く染まった。
「ほら、ここに」
愃はやおら手を伸ばして向かいから留花の頬に触れる。
「ここに飯粒がついている」
「愃さま。私の料理はお口に合いませんか?」
王族にしろ、両班にしろ、愃が留花とは住む世界が違う人なのは確かだ。そんな彼が普段から口にする豪奢な食事に比べれば、麦飯と汁だけの粗末な食事は食事とも言えないかもしれない。
先刻から、愃は木匙を手にしたまま、じいっと留花を見つめていた。既に汁物は空になり、飯の入った丼も半ば以上は減っていたが、今は手が止まった状態だ。
「いや、留花は可愛いなと思って」
愃はいきなり臆面もなくそんなことを言って、留花は耳まで紅く染まった。
「ほら、ここに」
愃はやおら手を伸ばして向かいから留花の頬に触れる。
「ここに飯粒がついている」
